ジャンピングバイバイ

先日 買い出しのため車(ワーゲンバス)を走らせていると小学生の下校時間と重なったのか大勢の小学生が はしゃぎながら歩いていた。

目立つ車なので 指をさされたり、手を振られることは しょっちゅうなので この日も同じく指をさされたりしていた。

そんな中 赤信号で停車していると小学生が こちらを見て はしゃぎだしたが いつもの事と思い 気にも留めなかった。

ただ その日は 暑くて窓も全開だったので 小学生達の きゃっきゃしている声が よく聞こえてきた。

 

『ねぇねぇ 何 あの車〜  あれ?ドラム積んでる〜』と少女が 回りの友達にしゃべりだした。

『何あれ?なに〜?』と7、8人の小学生達が一斉にコチラを向きだした。

「まずいぞこれは」

早く信号変わらないかなぁ と思いながら愛想笑いしていると 少女が『なんでドラム積んでるの?』と話しかけてきた。

話しかけてくる事だけでもビックリするのに、しかも信号待ちだし。さらにドラムに食いつくとは!?

なんだこの娘は!?

「???」

ビックリして とっさに言葉が出てこなく、愛想笑いしながら 早く青になってくれ〜と ハンドルを小刻みに叩いていた。

しかし まだ信号は赤のまま....

 

すかさず 友達であろう少年が『誰?誰?あの人誰?』と

 

面倒くさくはないけど 回りにも人がいるし なんだか恥ずかしい。

 

すると少女は

『あの人 きっと音楽の達人だよ』『ドラム積んでるし』

少年は

『なんていう人?なんていう人?』

少女は

『何かで見た事あるけど....』

回りの友達も

『だれ〜?だれ〜?なんていう人〜?』と盛り上がってきてしまった。

少女達の中では 俺が完全にミュージシャンか芸能人の誰かだと勘違いしだしている。

何も悪い事はしてないけど 何故か心臓がバクバクで赤面してきた。

この子達の夢を壊す前に早く立ち去りたい。

「青になれ青になれ」

そう思っていると ようやく信号が青に変わりブレーキから足を離した。

「よっしゃ〜っ」

ニコッと おじぎして走り去ろうとしたら少年がまだ

『だ〜れ〜?なんていう人〜』と走ってついてきやがった。

「名前を言ったってわかるわけがないしなぁ...」

「よしっ!ブッチギリだ〜っ!」

車を走らせ デカイ声で「バイバ〜イ」と笑顔で手を振り その場を立ち去った。

ドアミラーを見ると少年は やっぱり ついて来れず走るのをやめて今度はデカイ声でジャンプしながら『バイバ〜イ』とジャンピングバイバイを きめてきた。

なんともニクいヤツ。

こちらも窓から手を振り返し 短くも長い時間が終わった。

 

友達のように いつまでもドアミラーから小さく見えなくなるまでジャンプして手を振ってくれた少年と やたらとドラムに興味をもってた少女。

自分の少年時代を思い出させてくれた2人に感謝し、忘れてはいけない何かを貰った1、2分の出来事でした。

どうもありがとう!

 

今となっては なかなか子供の頃を思い出す機会は ないけれど たまには思い出して忘れてしまった自分を取り戻す事も大事かもしれませんね。

考えさせられる一日でした。

 

しかし小学生相手に こんなビビってしまうなんて。。。